家と財産を守るための〜不動産の相続対策
家と財産を守るための〜不動産の相続対策
文書作成日:2024/07/20
共有地の解消

弟と共有している貸駐車場について共有を解消したいと考えています。有効な対策を教えてください。

Q
今月のご相談

 私と弟の二人で相続した貸駐車場(共有地)があります。収支はプラス、かつ2人の仲は良好のため、全く問題視してきませんでしたが、2人とも妻子がいるため、お互い元気なうちに何かしらの対策を講じた方がよいと思うようになりました。つきましては、有効な対策を教えていただきたいと思います。

A-1
ワンポイントアドバイス

 通常、兄弟姉妹間の共有地は、その共有者の相続が発生するたびに共有者は増加します。共有者が増加すると、意思疎通が難しくなり、共有地の利用(活用)及び売却が難しくなります。よってご相談のとおり、意思疎通が容易であるうちに、何かしらの対策を講じた方がよいと思われます。

A-2
詳細解説

 以下、3つの対策をご提案いたします。

1.共有物分割(現物分割)

 ここでいう共有物分割とは、共有地を分筆(分割)し、各々が持分に応じた土地を単独所有することです。例えば、南側道路のみに面した整形地の持分を各々2分の1所有している場合は、面積が等しくなるよう東西に分筆することになります。なお、分筆線は価額で決定するため、共有地が変形地や角地等の場合は、面積が等しくならない場合があります。

 ご相談のケースでは、共有物分割後も2筆を共同で駐車場として賃貸することが可能です。しかし、所有地単独での利用及び売却について困難が予想される場合は、将来を見据えた上で、共有物分割をより慎重にご検討いただく必要があります。

【主な諸費用】

確定測量及び分筆費用、司法書士費用、登録免許税(軽減あり)、印紙税

2.相手方の共有持分を購入・相手方へ共有持分を売却

 相手方の共有持分を購入または相手方へ共有持分を売却することにより、共有を解消します。なお、同族間の売買となるため、その価額については、みなし贈与と判断され、贈与税が課税されることがないよう慎重に決定する必要があります。そのため、不動産鑑定評価や公的評価を参考にして決定する場合が多くなります。

 この対策は、共有者間の利益が相反するため、純粋に共有解消が目的の場合、実現が困難な対策になるかもしれません。

【主な諸費用】

司法書士費用、印紙税、不動産鑑定費用(実施する場合)
売主:譲渡所得税等
買主:登録免許税、不動産取得税

3.共同で売買

 共有地を共同で売買します。諸費用は一番高額となる可能性が高いですが、売買代金はその諸費用を大幅に上回る場合がほとんどです。

【主な諸費用】

確定測量費用、不動産仲介手数料、司法書士費用、印紙税、譲渡所得税等

 上記3つの対策にはそれぞれ一長一短があり、各共有者の意向及び共有地の個別的要因により、選択する対策は異なってきます。個人的には、継続所有を前提とした場合は1.、前提条件がない場合は実質的な費用負担がない3.を選択されるケースが多いとの印象を受けています。いずれにしましても、共有者間で慎重に検討の上、早期に共有を解消されることをお勧めします。

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