診査や健康状態の告知が要らない生命保険に加入する際の注意点を教えてください。
父は3年前、相続対策のために生命保険の加入手続きを進めましたが、過去の病歴により加入できませんでした。以後、生命保険には加入できないと思い込んでいましたが、先日、付き合いのある保険会社の担当者から、診査や健康状態の告知が要らない生命保険があると聞きました。相続対策として有効なため提案させてほしいと面談の申し出があったのですが、以前加入しようとした保険と何が違うのでしょうか?
また、注意すべきポイントがあればご教示ください。
診査や健康状態の告知が要らない生命保険は「無選択型保険」といい、過去の病歴や契約時点の健康状態に関係なく加入することができます。この無選択型保険に加入する際の注意点については、詳細解説をご確認ください。
一般的に生命保険には保障機能があるため、契約者間の公平性を保つ観点から、保険会社は契約年齢や性別、健康状態を査定し加入の可否や保険料などの条件を決定します。健康状態の査定により加入できないまたは保険料が割増しされるなど、条件が付加されることもあります。
しかし昨今、平均余命が伸び死亡率が下がっている背景から、診査や健康状態の告知が要らない生命保険も販売されるようになりました。保険会社では加入の可否や条件を決める査定を「選択」といい、健康状態による「選択」が不要なタイプの生命保険は、一般的に「無選択型保険」といわれています。
(1)特徴
- 加入時に診査や健康状態の告知が不要であるため、過去の病歴や契約時点の健康状態に関係なく加入できる
- 健康状態の査定が必要なタイプと比べ、保険料は割高に設定されている(<参考>プラン例を参照)
- 保険料の払込方法が一時払や終身払に限定されていることが多い
- 終身払の契約では、加入できる保険金の上限が低めに規定されていることが多い
(2)注意点
- 契約時点で、入院中あるいは余命宣告を受けていると加入できない場合もある
- 高度障害状態の保険金が支払われない商品もある
- 加入から一定期間、保険金額や支払事由に制限が付いている商品もある
- 終身払の契約では、払込保険料累計額が保険金額を上回る可能性がある
無選択型保険は健康状態に関わらず加入が可能で、相続税を計算する上で生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が活用できますので、非課税枠に有余があれば相続対策として有効です。一方で、上述のとおり保険料が割高、契約から所定の期間は保障機能が劣る傾向があるなどのデメリットもあります。
健康状態の告知が全く要らない無選択型の保険とは別に、告知項目が少ない簡易告知型(引受基準緩和型、限定告知型ともいわれます)の保険を取り扱っている保険会社もあります。健康状態の告知が必要なタイプで加入できない人も、簡易告知型保険では加入できることがあります。簡易告知型保険は無選択型保険より保険料が若干割安、また、契約当初から一定水準の保険金額を確保できる傾向にあります。
過去に生命保険に加入できなかったとしても、治療の経過や現時点の健康状態が良好であれば、診査や告知が必要なタイプ、または簡易告知型で加入できる場合もあります。効率良く契約時から死亡保障を確保するためには、無選択型以外のタイプもあわせて検討するとよいでしょう。
<参考>プラン例/65歳男性
保険種類 | 無選択型一時払逓増終身保険 | 簡易告知型一時払終身保険 |
保険料 | 一時払保険料 1,000万円 | 一時払保険料 約1,005万円 |
保険金額 | 契約〜5年間 1,000万円 6〜10年目 1,006万円 11年目以降 1,013万円 |
契約時から一定 1,140万円 |
(※)保険設計内容は、保険会社や契約時期などにより条件が異なります。
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