家と財産を守るための〜不動産の相続対策
家と財産を守るための〜不動産の相続対策
文書作成日:2024/04/20
接道義務を満たしていない土地の売却

建物が再建築できない土地を相続しました。なんとか売却できる方法はありませんか?

Q
今月のご相談

 実家を相続しましたが、戻る予定がないため売却することにしました。不動産会社に価格の査定を依頼したところ、「この土地は間口が2メートル未満なので接道義務を満たしておらず、建物が再建築できない土地なので売却が難しい」と言われました。なんとか売却する方法はないのでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 接道義務を満たしておらず、建物が再建築できない土地は、売却が難しくなります。対策としては、お隣の方に購入いただく、もしくはお隣の土地の一部を譲り受け、接道義務を満たす土地にすることが考えられます。

A-2
詳細解説
1.接道義務について

 まず、「接道義務」についてご説明します。
 建築基準法では、以下参考にある法令@Bにより、原則、建築物の敷地は幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない(以下、接道義務)と定められており、この接道義務を満たしていなければ建築物を建築することができません。相続されたご実家は、間口が2メートル未満ということですから、不動産会社が言うように接道義務を満たしておらず、建物の再建築ができないと考えられます。

 なお、道路の幅員が4メートル未満だったとしても、以下参考にある法令Aにより、土地の一部が道路とみなされる場合があります。

■参考法令(抜粋)
  1. @建築基準法第42条第1項【道路の定義】
    (道路の定義)
    この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
  2. A建築基準法第42条第2項【セットバック】
    都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートルの線をその道路の境界線とみなす。
  3. B建築基準法第43条第1項【接道義務】
    (敷地等と道路との関係)
    建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。
2.接道義務を満たしていない土地の売却

 ご相談のように接道義務を満たしていない土地は、建物の再建築ができないため、不動産の価値が著しく下がります。また、売却するにしても、購入する方を探すことは非常に困難です。

 対策として考えられる方法は、お隣の方に購入いただく、もしくはお隣の土地の一部を譲り受け、接道義務を満たす土地にすることです。お隣の土地と地続きとなれば、間口が広がることで接道義務を満たす土地となります。いずれにせよ、このようなお隣を巻き込む場合には、隣地と合わせて検討する必要がありますので、まずはお隣の方にご相談してみることをお勧めいたします。

 またお隣を巻き込むことに躊躇する場合には、建物の建築状況次第ではリフォームをして中古物件として売却するなども考えられるでしょう。ただしリフォームできるか否かは一定の条件がありますので、専門家にご相談ください。

 その他、土地の面積や形状、立地条件次第ですが、すぐに売却するのではなく、駐車場や駐輪場などの一時的な活用も検討されてはいかがでしょうか。

 なお、接道義務には他にも細かい基準があり、自治体によっても基準が異なります。実際に再建築不可物件に該当するか否かは、専門家に確認の上ご判断いただくとよいでしょう。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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